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NTCにおけるインドネシア語教育論:第二言語教育


言語教育は、以下のように分けることが出来る。
1.母国語としての言語教育
2.第二言語としての言語教育
3.外国語としての言語教育

2.と3.は、よく混合されるが、ここで改めて明確にすべきである。第二言語は、第一言語(母語)の次に、学習して使用できるようになった言語のことを言うが、外国語は、話し手が住んでいる地域で使われていない言語である。そして、母語としての言語教育は、国語教育に相当する。

さて、JICAのボランティア事業で派遣されるシニアボランティアと青年海外協力隊に対する言語教育は、大学などで実施される『外国語教育』とは異なり、『第二言語の教育』である。従って、訓練所で訓練する間に、派遣予定者は任国で使用される言語の文法や音韻(音)の知識だけではなく、何らかの形で、その言語によるコミュニケーションが出来るようにならなければならないのである。

訓練言語が英語の場合、訓練生は文法の基礎知識が既に持っているが、英語以外の場合、殆どの訓練生は知識を有さない という特徴がある。インドネシア語に関して、後者に入るので、殆どの訓練生は、文法の知識が無いと言っても過言ではない。

65日間という短い期間で、インドネシア語によるある程度のコミュニケーション能力を取得するために、訓練生は、教室でインドネシア語教師からインドネシア語の音の規則・文字・文法などを学ばなければならないが、教室以外でも自習しなければならないのである。つまり、第二言語学習は教室における学習と自習から構成される。

NTCの廊下などの壁に『speak your target language(任国の言語を話せ)』というものが多く張られているが、必ずしも有効とは限らない。なぜならどこにおいても、聞こえて来るのは日本語だけだからである。又、英語以外の言語を学習している訓練生は、学習言語の文法知識が少なく、会話に有効な言い回しもあまり知らないので、会話が途中で止まり、母語である日本語になってしまう。

さて、確かに会話が出来ることは、JICAが求める能力ではあるが、会話をするために、
1.学習言語の『音』を学び、音とそれを記録する文字との関係性を理解して使用出来なければならない。
2.学習言語の文字や音の羅列(単語)を元にして文法を駆使して、文を作る能力を取得しなければならない。
3.文と文を繋いで、話し手である訓練生の意図を伝える能力を取得しなければならない。

1.2.3.の基礎能力を取得させるために、教室での時間を『訓練』と『講義』の時間を分けて行う必要がある。『訓練』について、教師が日本語を理解しなくても良いが、『講義』では、教師が訓練生の母語である日本語をある程度伝えることが出来なければならない。そうしなければ、訓練生の負担が大きくなる。そのほかに、自習において、訓練生に対して、正しい自習法を指導しなければならない。

訓練生の背景は、様々である。第二言語を既に取得したものもいれば、そうでないものもいる。第二言語を既に取得する者にとって、第三言語の取得の仕方は延長線に過ぎないが、そうではない者にとっては、第二言語取得は困難である。そのために、個別の学習支援が必要だと考えられる。教室でインドネシア語を学ぶ時間や学習方法は決まっているが、自習時間は訓練生が自分で設定出来る。本来なら、訓練生の個人個人の自習の仕方に関与してはいけないが、教師は、提案や宿題という形で、自習時間における学習の仕方を指導することが出来るのである。

纏めるとNTCにおける語学教師業務とは
1.教室における『語学訓練』を実施する。
2.教室における『語学講義』を実施する。
3.教室時間外『自習時間』における訓練生の学習の仕方の指導


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